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戦後日本海運における便宜置籍船制度の史的展開
  • 仕様:B5判並製
  • 261ページ
  • ISBN978-4-88359-319-4
  • 発行日:2013/12/16

戦後日本海運における便宜置籍船制度の史的展開

合田浩之

定価5,500円(本体5,000円+税)

在庫:あり

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概要

日本の外航海運会社は、今日、その船隊のほとんどすべてをパナマ、リベリア、マーシャル諸島といった外国に船籍登録する。このような船を便宜置籍船と呼ぶ。日本の海運会社がなぜ、そして、どのようにこの便宜置籍船という制度を利用してきたのかということについての歴史を本書では概説する。それは戦前等の前史も含む。本書は日本の海運会社による便宜置籍船利用の歴史の概説としては、史上初のものである。

目次

  • はじめに
  • 図表目次
第1章 問題の所在
  • 1-1 問題の提起
    1. 船隊整備と便宜置籍船
    2. 日本の海運会社が便宜置籍を行う理由
    3. 船籍の意義
  • 1-2 便宜置籍船に関する先行研究
  • 1-3 便宜置籍船研究の意義
  • 1-4 分析対象の限定と論文の構成
第2章 戦後における便宜置籍船の生成
  • 2-1 戦前の経験
    1. 関東州置籍船
    2. 変態輸入船
    3. 日中関係の悪化と外国置籍
    4. 小括
  • 2-2 戦後の日本の便宜置籍船
    1. 仕組船の概念の整理
  • 2-3 便宜置籍船利用の前史
    1. 戦後の外国用船の再開と中古外国船の購入の再開
    2. 香港船主からの日本のオペレーターによる定期用船
    3. 香港船主を起用した日本のオペレーターによる「単純仕組船」
    4. 香港船主による便宜置籍
  • 2-4 仕組船以前の日本の便宜置籍船
    1. 丸善石油(昭和33[1958]年)の事例
    2. 三光汽船の試み
  • 2-5 「初期の仕組船」「単純仕組船」に対する日本政府の対応
    1. 運輸省
    2. 日本輸出入銀行
    3. 為替管理の存在
  • 2-6 昭和30年代後半から40年前半の船員費
  • 2-7 小括
第3章 便宜置籍船の量的拡大
  • 3-1 日本商船隊における便宜置籍船の増加
  • 3-2 邦船社の仕組船(便宜置籍船)への対応
    1. はじめに
    2. 便宜置籍船(仕組船)増加策
    3. 船員費の負担感
    4. 部員の削減
    5. 邦船社における仕組船建造・維持の体制
    6. 仕組船認知論
  • 3-3 日本の荷主の日本籍船への評価
  • 3-4 日本人船員の便宜置籍船増加に対する姿勢
    1. 日本の海運会社の便宜置籍に対する全日本海員組合の対応・主張
    2. ITF(国際運輸労連)の便宜置籍船対策と全日本海員組合
  • 3-5 日本の海運政策 ―日本籍船競争力回復の試み―
    1. 旧丸シップ
    2. 新丸シップ
    3. 近代化船
    4. 国際船舶制度
  • 3-6 税制
  • 3-7 小括
第4章 便宜置籍船制度の成熟
  • 4-1 日本籍船建造の終焉
  • 4-2 邦船社の船舶管理体制の再編成
    1. 船舶管理部門
    2. 外国人船員育成及び確保の内製化
    3. 高級船員への外国人の登用
  • 4-3 全日本海員組合の対応
    1. 仕組船に対する雇用条件の確保
    2. 邦船社の外国人船員配乗への組合の取組み
    3. 部員に対する組合の対応
  • 4-4 船舶の安全性を確保するための国際的な枠組みの形成
    1. 国際条約(公法)での対応
    2. 国際条約(私法)と商業慣行
    3. 政府による商業慣行の利用
  • 4-5 日本籍船維持への特殊な税制の導入
  • 4-6 便宜置籍国同士の競争
    1. 船主に対する利便性
    2. 船籍国の船舶の品質管理への関与
  • 4-7 便宜置籍国の新しい傾向
  • 4-8 小括
第5章 総括
  • 5-1 研究の総括
  • 5-2 残された課題
  • 5-3 研究上の今後の展望
  • 5-4 便宜置籍船制度の将来
  • 5-5 おわりに
  • 引用文献
  • 参考文献
  • あとがき

著者紹介

盛岡大学文学部英語文化学科准教授。岩手県立大学盛岡短期大学部非常勤講師。岩手大学人文社会科学部非常勤講師。

※発行時の奥付より

助成出版

盛岡大学研究助成金等による出版

装幀