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乳がんを生きる  日米の診療とサポート、そして語り
  • 仕様:A5判並製
  • 217ページ
  • ISBN978-4-88359-325-5
  • 発行日:2014/07/25

乳がんを生きる

日米の診療とサポート、そして語り

八木彌生

定価3,850円(本体3,500円+税)

在庫:あり

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概要

日本人女性の罹患数第1位である乳がんは、新聞、雑誌、テレビ番組などメディアで取り上げられる機会が多くなった。筆者は日本の診療・支援体制を踏まえ、罹患率の高いアメリカの現状を丹念に視察し、乳がん診療の懇切さと短い入院生活後のサポート体制の多様さと手厚さを見聞した。また日・米で暮らす日本人女性の病いの経験を聴きとり、その世界を比較考察した。現に乳がん治療を受けている女性たちはもとより、乳がん診療に関わる医療者や支援者にも本著書は参考になるだろう。

目次

第Ⅰ章 序 論
  • A.研究の背景と目的
  • B.研究の具体的課題と意義
  • C.用語の定義
  • D.方法
    1. 日本とアメリカにおける診療・支援体制に関する現状調査
    2. 乳がん経験者の語りを収集するためのインタビュー調査
    3. 看護師としての筆者の経験
  • E.先行研究の検討
    1. インタビューによるライフヒストリー法を用いた研究について
    2. 人が病いあるいは障害を経験していく過程の研究について
    3. 日本人の身体観と異文化の女性の身体観の類似と相違について
  • F.本書の構成
第Ⅱ章 乳がんに関わる身体性、病気観、社会性
  • A.乳房の身体的側面
    1. シンプルな器官
    2. 逆説的な乳房
  • B.乳房の文化・社会的側面
    1. 母性性
    2. 女性性
    3. 社会性
  • C.乳房の病い
    1. 乳がん発症への問い
    2. 乳房喪失
    3. 再発の恐れ
  • D.乳がん経験者
    1. サバイバー(生還者)というアイデンティティ
    2. 同病者との活動
    3. 生き方の多様化
  • E.結論
第Ⅲ章 医療機関と支援グループでの経験
  • A.乳がんの診察と治療を通して
    1. 日本における診察の場を通して
    2. アメリカにおける経験
    3. 診断・治療の方法の多様化
  • B.支援グループへの参加を通して
    1. 日本における患者会
    2. アメリカにおけるサポート・グループ
    3. 支援グループおよび活動の多様化
  • C.日米での経験の相違
    1. 診療経験
    2. 支援のありかた
  • D.患者会やサポート・グループに参加しない人について
  • E.結論
第Ⅳ章 日本における乳がん経験
  • A.語りによる乳がん経験
    1. インタビューについて
    2. 経験の鍵となる表現
  • B.語られた経験の特徴
    1. 乳がんに関する認識
    2. 家族の世話を優先
    3. 診療時間の短さ
    4. 適切な解説書の少なさ
    5. 同病者が集う、同行者となる
    6. 患者会に参加しない人々について
  • C.結論
第Ⅴ章 アメリカにおける日本人女性の乳がん経験
  • A.語りによる乳がん経験
    1. インタビューについて
    2. 経験の鍵となる表現
  • B.アメリカにおける経験の特徴
    1. 乳がんについての認識と知識
    2. 懇切な診療と詳細な解説書
    3. 家族との関係
    4. 入院期間の短さ
    5. 英語という言葉の問題
    6. サポート・グループに参加している人が少ない
  • C.結論
第Ⅵ章 乳がんを病むことにかかわる研究者の経験
  • A.入院中の乳がん患者との会話を通して
    1. 家族との関係性
    2. 退院後の閉じこもり
    3. 娘の結婚への影響危惧
  • B.乳腺専門医との会話を通して
  • C.回復期の乳がん患者との会話を通して
  • D.結論
第Ⅶ章 結 論
  • 文 献
  • あとがき

著者紹介

八木彌生(やぎ やよい)

看護師として臨床経験8年、看護行政(滋賀県)5年。看護教育職として滋賀県立看護専門学校、滋賀県立大学看護短期大学部、岐阜県立看護大学、静岡県立大学看護学部、関西福祉大学看護学部を経て、佛教大学保健医療技術学部看護学科教授。

※発行時の奥付より

装幀