定価3,850円(3,500円+税)
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マルタン・デュ・ガールの処女作「生成」、出世作「ジャン・バロワ」、そして代表作「チボー家の人びと」が「平凡性」の視点から綿密に分析される。平凡性とは、伝統的小説技法だとか、自然主義的視点だとか、「歴史」の導入だとかという特質であり、現代文学の主潮においてはともすれば時代遅れの美学とみなされる要素である。しかしローザは、これらが作者の熟慮によって選ばれた観察法、表現法の一形式と評価し、現代文学へのその独特の貢献を明らかにする。説得力に富む刺戟的論考。
神戸芸術工科大学助教授。