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グローバル世界史と環境世界史
  • 仕様:A5判並製
  • 246ページ
  • ISBN978-4-88359-345-3
  • 発行日:2016/02/24

グローバル世界史と環境世界史

深草正博

定価2,860円(本体2,600円+税)

在庫:あり

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概要

グローバル史と環境史を、世界史としてどのように接合したらよいのか。著者は、梅棹忠夫の「文明の生態史観」を土台に据えながら、森林破壊と気候変動を2つの軸として、モンゴル、シルクロード、日本、ヨーロッパ、アメリカの歴史を考察する。その際、6世紀・14世紀・17世紀の「危機」を特に重要視する。そして、福沢諭吉、夏目漱石、ミヒャエル・エンデ等の作品を、本書の主題に沿って読み直すことから、新しい世界史の構築を試みる。

目次

  • まえがき
第Ⅰ部
第1章 二一世紀に向けた世界史の再構築
 -梅棹忠夫「文明の生態史観」を手がかりとして-
  • はじめに
  • 一、「文明の生態史観」とは
  • 二、「中洋」をいかに捉えるか-自形と他形、ネットワーク-
  • 三、「海洋史観」による修正
  • 四、気候変動論の組み込み
  • おわりに
第2章 新しい世界システム論の構築
 -山下範久『世界システム論で読む日本』を検討して-
  • はじめに
  • 一、山下氏の提案する図
  • 二、「長期の一六世紀」と「一七世紀の危機」
    1. 「長期の一六世紀」と「帝国」
    2. 「一七世紀の危機」導入の必要性
  • 三、西ヨーロッパと日本の特殊・例外論
  • 四、気候変動論の組み込みと二つの危機
  • おわりに
第3章 発見
 -モンゴル帝国大崩壊の秘密がたった一本の桧の中にひめられている-
  • はじめに -発見の醍醐味-
  • 一、発見にいたる経緯
  • 二、ある書物との出会いと問題の核心
  • 三、一四世紀「大天災」の原因解明
  • おわりに
第4章 「一四世紀の危機」について
  • はじめに
  • 一、「一四世紀の危機」について
  • 二、黒死病と気候の連関
  • 三、シルクロードにおけるカラホトの滅亡
  • 四、日本の一四世紀
  • おわりに-今後の課題にかえて-
第5章 ミヒャエル・エンデが『モモ』で訴えたかったこと
 -その挿絵の解釈-
  • はじめに
  • 一、問題の挿絵
  • 二、解釈
  • 三、挿絵と現実-仮説検証-
  • おわりに
第Ⅱ部
第6章 文明と環境から見た福沢諭吉と夏目漱石
  • はじめに
  • 一、私の中でいつ福沢と夏目が結びついたのか
  • 二、比較(その一)-「文明」の観点から-
  • 三、比較(その二)-「環境」の観点から-
  • おわりに
第7章 世界的気候変動の中の日本史
  • はじめに-「温新知故」の認識? 現代の地球温暖化によせて-
  • 一、世界的気候変動の諸相
  • 二、五三五年の破局-「暗い太陽」の年-
  • 三、気候変動と日本史
  • 四、トピック①-史上最悪一四世紀「大天災」とその帰結 -ヨーロッパ・シルクロード・日本-
  • 五、トピック②-「一七世紀の危機」と鎖国-
  • おわりに-今後の課題と展望-
第Ⅲ部
第6章 文明と環境から見た福沢諭吉と夏目漱石
  • はじめに
  • 一、私の中でいつ福沢と夏目が結びついたのか
  • 二、比較(その一)-「文明」の観点から-
  • 三、比較(その二)-「環境」の観点から-
  • おわりに
第8章 エジプトからアメリカに渡ったオベリスク
 -「環境世界史学」の視点から-
  • はじめに
  • 一、セントラル・パークに立つオベリスク
  • 二、エジプトブームとオベリスク
  • 三、エジプトからニューヨークへ
  • 四、現代病の生き証人オベリスク
第9章 アメリカ民主主義の本質
 -ターナーとアーノルド理論に触発されて-
  • はじめに
  • 一、ターナーのフロンティア論
  • 二、アーノルドのフロンティア論
  • 三、アメリカ民主主義の本質
  • おわりに
第10章 環境史と世界史
  • 一、「環境世界史学」の創造
  • 二、パラダイム転換-森林破壊からみる-
  • 三、気候からみる世界史
    1. 西暦五三五年の大噴火
    2. 一四世紀の危機
    3. 一七世紀の危機
  • 今後の課題
第11章 グローバル教育とグローバル・ヒストリー
  • 一、研究史概観
  • 二、なぜグローバル・ヒストリーなのか
  • 三、「環境世界史学」の観点から気候に注目する
  • 四、文明史の視点からグローバル・ヒストリーを再構築する
第12章 十字軍と斎王制度終焉の謎
  • 一、問題の発端
  • 二、モンゴル帝国と東西世界の気候背景
  • 三、仮説の提示
 
  • あとがき
  • 初出一覧

著者紹介

愛知教育大学附属高等学校文部教官教諭・愛知教育大学兼任講師を経て、皇學館大学教育学部教授(元 教育学部長)

    【著書】
  • 『初等・中等社会科教育』(共著、学術図書出版社、1990年)
  • 『現代社会科教育実践講座』(共著、第11巻、研秀出版社、1991年)
  • 『社会科教育の国際化課題』(単著、国書刊行会、1995年)
  • 『21世紀「社会科」への招待』(共著、学術図書出版社、2000年)
  • 『21世紀地球市民の育成』(共編、黎明書房、2001年)
  • 『環境世界史学序説』(単著、国書刊行会、2001年)
  • 『グローバル教育の理論と実践』(編集委員、教育開発研究所、2007年)
  • 『「文化と環境」の教育論』(単著、皇學館大学出版部、2009年)
  • 『社会科教育実践ハンドブック』(共著、明治図書、2011年)
  • 『世界史授業デザイン』(共著、明治図書、2012年)他
※発行時の奥付より

装幀