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日本の対内モンゴル政策の研究
  • 仕様:A5判上製
  • 315ページ
  • ISBN978-4-88359-346-0
  • 発行日:2016/02/28

日本の対内モンゴル政策の研究

内モンゴル自治運動と日本外交 1933-1945年

ガンバガナ

定価7,638円(本体6,944円+税)

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概要

本書では、日露戦争後の東北アジア地域における日露の勢力争いの中で生まれたいわゆる「満蒙問題」が、1911年の外モンゴルの事実上の独立と1932年の「満洲国」の成立により、どのようにして「蒙古問題」として内モンゴルに移行し、さらにそれが、どのようにして史上最大の激動の時代20世紀前半の国際社会のダイナミックな変動の中に組み込まれていったのかを詳述している。1930年代に起きた内モンゴル自治運動とそれに対する日本の外交政策に焦点をあてながら検討し、それによって、当時の国際社会における内モンゴル問題の多元的な諸相を明らかにした。

目次

  • 口 絵
  • 凡 例
序章 問題意識と課題設定
  • はじめに
  • 1.問題の所在と本書の構成
    1. 問題の所在
    2. 本書の構成
  • 2.先行研究
  • 3.本課題に関連する三つの問題
    1. 内モンゴル自治運動発生の社会背景
    2. 日本の対内モンゴル政策の原点
    3. 内モンゴル人による 民族解放運動の前史
第1章 民族解放運動としての百霊廟自治運動
  • 1.民族解放運動としての百霊廟自治運動
    1. 百霊廟自治運動の必然性
    2. 百霊廟モンゴル地方自治政務委員会の成立
  • 2.百霊廟自治運動と日本との関係
    1. 百霊廟蒙政会成立前
    2. 百霊廟蒙政会成立後
  • 3.日本の西部内モンゴル進出と「日蒙協力体制」の形成
    1. 日本の進出に対する国民政府の対応
    2. モンゴル軍政府の樹立と「日蒙協力体制」の形成
  • 小 結
第2章 綏遠事件からみた日本の対内モンゴル政策の構造
  • 1.綏遠事件前の日本の対内モンゴル政策
    1. 関東軍の対内モンゴル政策
    2. 日本政府の政策方針
  • 2.綏遠事件と日本
    1. 綏遠事件の発生とその敗因
    2. 綏遠事件当時の日本側の内部関係
    3. 綏遠事件の日中関係への影響
  • 3.綏遠事件後の日本の政策展開
    1. 内モンゴル軍の縮小の動き
    2. 日本政府の対内モンゴル政策
  • 小 結
第3章 日中戦争の勃発と日本の対内モンゴル政策
  • 1.占領地域の支配をめぐる関東軍と陸軍省の対立および関東軍の支配確立
    1. 占領地域の支配をめぐる関東軍と陸軍省の対立
    2. 蒙疆連合委員会の成立と関東軍の蒙疆地域における支配確立
  • 2.関東軍とデムチグドンロブ王の確執と日本政府の対応
    1. 関東軍とデムチグドンロブ王の確執
    2. 内モンゴル独立問題をめぐる日本政府内部の意見対立
  • 3.日中関係と内モンゴル問題
    1. 日中和平交渉と内モンゴル問題
    2. 日本の汪兆銘工作と内モンゴル問題
  • 小 結
第4章 モンゴル自治邦政府の成立をめぐる日中蒙の駆け引き
  • 1.モンゴル連合自治政府の成立をめぐる各勢力の対立
  • 2.内モンゴル自治運動における汪兆銘政権の影響
    1. 「日支新関係調整要綱」
    2. 青島会議
  • 3.デムチグドンロブ王の第2回目の訪日と独立計画推進の試み
    1. モンゴル青年結盟党の結成
    2. デムチグドンロブ王の第2回目の訪日と「蒙古建国促進案」
  • 4.モンゴル自治邦政府の成立とその意義
    1. モンゴル自治邦政府の成立をめぐるジレンマ
    2. 最高顧問の廃止と自治の拡大
  • 小 結
第5章 興蒙委員会の設立と蒙旗地域の復興事業
  • 1.興蒙委員会の設立とモンゴル側と日本側のそれぞれの思惑
  • 2.興蒙政策の確立
    1. 「蒙旗建設十個年計画」の確定
    2. 蒙旗建設隊の設立
  • 3.興蒙政策の内容
    1. 経済の確立
    2. 教育の復興
    3. 民生の向上
  • 小 結
第6章 日ソ関係と内モンゴル自治運動
  • 1.日ソ国境紛争と防共基地としての内モンゴル
    1. ハルハ廟事件とマンチューリ会議
    2. 防共基地としての内モンゴル
  • 2.ノモンハン事件と日本の国際戦略の変化
    1. ノモンハン事件の経過
    2. 日ソ国交改善の試み
  • 3.「日ソ中立条約」と内モンゴル問題
    1. 「日蘇国交調整要綱案」と内モンゴル問題
    2. 「日ソ中立条約」の締結
  • 4.内モンゴル自治運動におけるノモンハン事件のインパクト
  • 小 結
第7章 太平洋戦争と日本の対内モンゴル政策
  • 1.日米交渉と太平洋戦争の勃発
    1. 南進論の浮上と日米交渉
    2. 中国における駐兵問題と、ハルノートの出現
  • 2.「対支新政策」の登場と汪兆銘政権の参戦問題
    1. 「対支新政策」の登場
    2. 汪兆銘政権の参戦問題
  • 3.「日華同盟条約」の締結と蒙疆問題
    1. 「日華基本条約」の改訂問題
    2. 蒙疆地域の処遇をめぐる日汪の駆け引き
    3. 「日華同盟条約」の締結とその影響
  • 4.戦争終結のシナリオとモンゴル自治邦政府の崩壊
  • 小 結
終章 モンゴル自治邦政府の歴史的意義
補論 戦前期内モンゴルにおける草地売買について -シリーンゴル盟を事例として
  • 1.旅蒙商の業態
  • 2.草地売買における取引市場
    1. 草地取引市場としてのバンディド・ゲゲーン・スム
    2. 地方集散市場としての張家口
  • 3.草地売買の流通工程
    1. 漢人商品の流入過程
    2. 蒙貨の流出過程
  • 小 結
  • 参考文献
    1. 文書館史料
    2. 文献資料
  • 付属資料
  • A Study on the Japanese Policy towards Inner Mongolia
  • あとがき
  • 索 引
    1. 人名索引
    2. 事項索引

著者紹介

2012年~秋田国際教養大学助教。2016年~国際教養大学助教。学術博士。専攻はモンゴル近現代史。主な論文は、『内モンゴル自治運動と太平洋戦争期における日本の対内モンゴル政策―「日 華同盟条約を中心に」』 (『東北アジア研究』 (16)、2012年)、『モンゴル自治邦の実像と虚像― 日本の外交政策からのアプローチ』 (『中国21』 (27)、2007年)、『汪兆銘と内モンゴル自治運動 ―日本の対内モンゴル政策を中心に』(『日本モンゴル学会紀要』(35)、2005年)など。

※発行時の奥付より

助成出版

日本学術振興会科学研究費補助金成果公開促進費(出版助成金)による刊行図書

装幀