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ART×国際協力
  • 仕様:A5判並製
  • 238ページ
  • ISBN978-4-88359-379-8
  • 発行日:2022/03/31

ART×国際協力

-世界中に風を通す扉を-

山田 猛 編著

定価2,200円(本体2,000円+税)

在庫:あり

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概要

紛争の絶えない国際社会で、成熟した文化的国際社会形成を目指し、多様性の受容・異文化間理解のためのコミュニケーションや触媒として、国際協力・美術の可能性を探る。JICA海外協力隊美術関係者6名の実践報告と、半世紀以上の実践が未検証であった日本の国際協力・美術教育分野では初の学術研究をわかりやすく解説。思い切って一歩を踏み出してみることで、それまでは考えられなかった世界が広がり、ARTと五感を通した人類としての本質的理解、未知なる自分自身との出会い、新たなチャンネルの獲得等、様々な体験が語られる。国際協力の現場を知りたい、いつかは扉を開き、世界を自分事として体感してみたいと考えてる方にお勧め。

目次

プロローグ
  • 1.地球が回っているのを感じる?
  • 2.それが世に必要ならきっと実現に向かって動き出す
  • 3.世界中に風を通すための窓や扉を
  • 4.国際協力って???
Ⅰ エチオピアで見つけたARTの魅力
  • 1.ふつうの小学校教員がエチオピアへ
  • 2.エチオピアってどんな国?
  • 3.はじまりは色のないARTの授業から
  • 4.ART FESTIVAL開催までのみちのり
  • 5.エチオピアでみつけたARTの魅力
  • 6.やってみなくちゃわからない ~帰国後とこれから~
Ⅱ 可能性再発見! 図画工作室in Belize
  • 1.地図のない国 ~世界の中心には、いつも子どもがいる~
    • (1)自己紹介 ~さあ、今日はどんな授業をしよう?~
    • (2)開発途上国で働くということ
  • 2. 実践報告 ~題材集について~
    • (1)赴任校でのArt & Craft指導のステップと、現地での課題
    • (2)Art & Craft授業 題材集
  • 3. 帰国後 ~「世界は誰のもの?」~
    • (1)生きるということ ~日本とベリーズの生活の違いより~
    • (2)自分なりの答えを探して
Ⅲ モンゴルでのデザイン教育
  • 1.モンゴルへの出発
  • 2.デザインの専門教育と海外の実際
  • 3.モンゴル社会の様子
  • 4.モンゴルでの文化体験
  • 5.モンゴルのデザインと教育
  • 6.私の学校での様子
  • 7.モンゴルでの日々を振り返ってみて
Ⅳ 植物とアートのジャマイカ日誌
  • 1.派遣にあたって
    • (1)はじめに
    • (2)自分ができる国際協力というと
  • 2.ジャマイカでの日々
    • (1)ジャマイカってどんなところ?
    • (2)ジャマイカの日々・その1 学校のこと
    • (3)ジャマイカの日々・その2 アートクラス
    • (4)ジャマイカのアート事情
    • (5)その後のジャマイカの日々
    • (6)地球の反対側の空気を感じること
Ⅴ 違いを知ることが扉を開く
  • 1.トンガ:青森
    • (1)青森
    • (2)トンガ
  • 2.トンガでの活動
    • (1)職業訓練学校での活動
    • (2)アートコースを飛び出して
    • (3)トンガでの暮らし
  • 3.帰国、青森へ
    • (1)アートセンターでの仕事
    • (2)実践例
  • 4.美術教育は何のためにあるのか
  • 5.派遣を終えて15年後に考えること
Ⅵ ARTの力はこれからどこに向かうのか?
  • ―憎しみを描く若手アーティストとの交流が四半世紀を経て何を問いかけているのか-
  • 1.突然開いたガザと私をつなぐ「扉」
  • 2.青年海外協力隊員として触れた、憎しみを表現するART
  • 3.パレスチナ・ガザ地区
  • 4.明るい未来を感じる壁画制作プロジェクトの立ち上げ
  • 5.「ガザでも同じやり方で行こう!」
  • 6.明るい未来を感じる壁画を描けるのか?
  • 7.壁画の世界と現実の世界
  • 8.パレスチナ人の心に残る日本とのつながり
  • 9.TEAM TETSUOの復活を夢見て
  • 10.人の心をARTで動かす
  • 11.最後に
Ⅶ 日本の国際協力における基礎教育分野の美術について
  • 1.国際協力実践報告(Ⅰ~Ⅵ章より)
  • 2.国際協力における美術教育分野の俯瞰
    • (1)国際協力・基礎教育分野の流れ
    • (2)日本の国際協力における基礎教育分野への取組の変遷
    • (3)日本の国際協力における美術分野の基礎教育への取組
  • 3.日本の国際協力における美術分野の基礎教育の検証
    • (1)技術移転の検証
    • (2)技術移転に至る要因の構造化
    • (3)技術移転否に至る要因の構造化
  • 4.これからの日本の美術教育協力に必要な視点
    • (1)教育協力活動に欠けていた視点-教育協力の非中立性
    • (2)畏敬の念に対する理解
    • (3)地域住民の視点の獲得と技術移転
    • (4)生活言語の重要性
    • (5)“教育の国家への包摂”の正当性の考察
    • (6)国際社会における日本の立場の両義性
    • (7)これからの美術教育協力に必要な視点
    • (8)take & give ―相互のリスペクトから技術移転へ
    • (9)納得のいく不一致点を探り合うために
    • (10)国際協力における美術の役割と理念
    • あとがき
    • 謝 辞

編著者紹介

山田 猛(やまだ たけし)

東京造形大学教授、博士(造形)。東京学芸大学教育学部美術科卒、放送大学院文化科学研究科教育開発プログラム修了(学術修士)、東京造形大学大学院・造形研究科・造形教育研究領域・博士後期課程修了。青年海外協力隊としてパラグアイの国立教員養成校講師、アルゼンチンの招聘による国立大学芸術学部講師や美術館での実技研修講師、東京都公立中学校、香港日本人学校中学部、国立大学法人東京学芸大学・附属竹早中学校における美術教育、東京造形大学非常勤講師等を経て現職。

※発行時の奥付より

執筆者紹介

海老澤 敦子

兵庫教育大学卒業。専門は小学校外国語教育。小学校教諭として公立小学校で勤務したのち、2015年より国際協力機構・青年海外協力隊に参加。エチオピアの公立小学校でアート教育に携わる。帰国後は、英語講師として公立小学校で英語を教える。現在は、子育てをしながら幼児英語に関わる仕事をしている。また、エチオピアのレザーを使った革小物をつくる作家活動も続けている。

栗田 亜由美

東京造形大学の造形研究科絵画専攻版表現コースを卒業後、同研究科修了。武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修了。東京都の公立学校で図画工作専科教諭として勤務し、青年海外協力隊に現職参加。平成28年度1次隊の美術隊員として、中南米ベリーズに派遣される。ベリーズでは国内第三の規模の都市であるオレンジウォーク州にある公立小学校、ラ・イマクラーダRC(ローマカトリック)小学校に勤務し、幼稚部~小学部・現地の教員達約900人に美術や図画工作の授業を教え、子どもや学校の実態に沿った題材開発情操教育の育成を目指す活動を行う。帰国後も、国際協力の方向性を模索しながら造形表現の研究を続けている。

桐山 岳寛

大同大学情報学部講師。東京学芸大学卒業、英国レディング大学大学院修了。グラフィックデザイナーとして民間企業に勤務後、2011年より青年海外協力隊に参加、モンゴルにてデザイン教育に従事。帰国後、英国留学、フリーランスを経て現職。主な受賞に米国 American Graphic Design Award(2020)、モンゴル Rajiv Gandhiin Neremjit Shagnaltan(デザイン教育活動、2013)。著書に『説明がなくても伝わる図解の教科書』(かんき出版)。ビジネス図解術に関する講演や研修なども数多く手がけている。

深沢アート研究所 カブ

緑化研究室代表 アーチスト・プランツマン・ハーバリスト。植物や土を通じて、人•こどもと緑をつなげる、をテーマにヴィジュアル、インスタレーションアート制作、地球の緑化活動をする。日大芸術学部科彫刻科 卒/University of East London fine art 3d course 卒/Royal College of Art Design Interactions中退。

金子 由紀子

文化女子大学家政学部卒業、東京造形大学大学院修了。専門は美術教育・美術館教育。2006年から2年間青年海外協力隊に参加、トンガ王国の職業訓練学校で美術を教える。2011年から10年間青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)に勤務し、「未完の庭、満ちる動き」(2018年)、「石田尚志展 弧上の光」(2019年)等アーティスト・イン・レジデンスや展覧会の他、「ACAC Now On AIR!」(2014~2015年)等ワークショップの企画、小学生への創作体験の指導などを行い、様々な世界にアクセスする手段としての芸術と教育の可能性について考察し実践する。2021年9月より、ブリティッシュコロンビア大学大学院修士課程美術教育専攻に在学。

神谷 哲郎

JICA技術協力「エジプト 就学前教育・保育の質向上プロジェクト」チーフアドバイザー、ペパーソンインターナショナル株式会社 代表取締役。東京学芸大中等教育教員養成課程美術専攻、青年海外協力隊(ヨルダン 職種 美術 1991~1993年)、国連開発計画(UNDPガザ事務所 1994~1996年)、JICA本部勤務を経て、エジプト、フィリピン、イラク、パレスチナでコミュニティー開発、参加型開発、農業、教育事業等に従事。2012年に子ども子育て支援を担う社会企業「ペパーソンインターナショナル(株)」を起業。

※発行時の奥付より

助成出版

東京造形大学研究助成金を受けての出版

装幀