定価2,750円(2,500円+税)
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最近では、保護者による児童殺害事件をテレビやニュースで見聞きしない日はない。本書は、保育士など子どもの福祉に職務上関係する専門家をはじめ、それを目指す学生など全ての人に一度は目を通して欲しい一冊である。子育ての責任はどこにあるのか。第一義的責任者として保護者があげられるが、国および地方公共団体など社会も責任を担っているといえる。特に、児童福祉施設である保育所での子育て支援は大きな役割を果たしており、そのため保育士には高い専門性が求められる。また専門的技術に加えて保護者への支援や関連機関との連携、地域で暮らす子どもやその保護者への支援もが職務内容とされている。これは、児童福祉が児童家庭福祉、さらに子ども家庭福祉へと転換を遂げたことを意味する。保育士などが職務を全うするためには、子ども慈しむ気持ちだけでなく、専門的な知識をもってその命を守らねばならない場面も多いが、保護者や家族を取り巻く社会資源もまた鍵を握っている。児童虐待の防止等に関する法律にもあるように、「学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士、警察官、婦人相談員その他児童の福祉に職務上関係ある者」など各専門家は虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければならないのである。
同志社女子大学現代社会学部 助教(2018年4月~2022年4月1日現在)科学研究費助成事業・基盤研究(C)「日本で生活するイスラム教徒への妊娠・出産・子育て支援」研究代表(2021年4月~)