定価9,790円(本体8,900円+税)
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国際的対立は、1対1の対立というよりも、1対2以上、あるいは2以上対2以上のアクターが争う、変則的なバトルロイヤルとなることが少なくない。本書は1でも2でもない「3」という紛争当事者の数が小国、大国の混じる国際関係でどのような傾向、戦略、戦術をその紛争当事者の間、あるいは紛争当事者とそれ以外の世界の間に生じさせるかを、1975年、「ベトナム戦争」の終りごろからカンボジア、ベトナム、中国の間に生じたいわゆる「第三次インドシナ戦争」を題材として考察する。カンボジアでGenocideを開始したクメール・ルージュという革命勢力が、如何に自由にそれを遂行し、ベトナムはいつ、なぜこの勢力を打倒する決意をし、米-ソ連-中国-ASEAN-日本等の関係が変容する中で、中国が東南アジアの変化にどう対応したか、についての事実と選択肢が考察される。これは大国に、そもそもカンボジア人を救おうとする意思があったか、そのGenocideはどのような国際関係の変化を伴いつつ終わったか、という問題でもある。
学習院大学法学部教授。B.L.(東京大学法学部)、Ph.D.(国際政治 Yale University)。Kennedy School of Government(Harvard University)フェロー、慶応大学総合政策学部非常勤講師、上海国際問題研究所客員研究員、復旦大学客員教授、北京大学客員教授。London University,( The School of Oriental and African Studies)客員研究員、Institut dʼAsie Orientale(Lyon)客員研究員、学習院大学法学部助教授を経て現在同大学教授。2018 年よりFree Rohingya Coalition のCitizen Ambassador。
学習院大学研究成果刊行助成金を受けての出版